しわしわの海苔がついたおにぎり

私はよくコンビニで夕飯を買う。

残業後、疲れて料理をする気にもなれず、

かといって、外食するのも時間がかかるため億劫。

その点、コンビニはすぐに食べれるものが売っているし、

買い物にも時間がかからない。

そういった理由から、コンビニを愛用している。

 

しかし、最近はそれも飽きているし、

食べ物も美味しく感じなくなってきている。

昔はあんなに美味しく感じていたのに....

高校時代、私は親に弁当を作ってもらっていたのだが、

「コンビニのパリパリの海苔のおにぎりが美味しいから、

 そういう風にして」

と親に注文したことがあった。

今では、親が作ってくれたラップに包んだしわしわの海苔が

ついたおにぎりが恋しい。

 

昔はコンビニに非現実を感じていたのだろう。

ほとんど毎食親に料理を作ってもらっていた私にとって、

たまにアイスを買ってもらうぐらいの場所でしかなかったコンビニ。

社会人になり、一人暮らしをするようになって、

私にとって夕飯を毎日買うぐらいの場所になったコンビニ。

いつの間にか、私の当たり前は逆転していたのだ。

いつの間にか、親に作ってもらっていたあのおにぎりが特別なものになっていたのだ。

 

私たちの感性は環境によって、左右される。

あの当時の自分は、親の作った海苔がしわしわの

おにぎりが食べたいと思う時がくるとは思わなかっただろう。

そして、違う環境に自分を置くことによって、

これまでの当たり前がすごく特別なことだと思い知らされた。

自分は恵まれていたのだと。

 

このことを実感できてよかったと思う。

なぜなら、あったかい気持ちになれるから。

少しだけ周りのやさしさに気づけたように思う。

実家にいたら、おそらく気づけなかったであろう、

支えられてきた自分に。

 

そんな日常に溶け込んでしまって見えない優しさ。

当たり前だと思っていたものを

自分も与えられるそんな人になりたいと思った。