イライラチャンス

イライラする。

休日だというのに、まだ昨日の仕事のイライラが抜けずにいた。

 

自慢じゃないが、私はめったにイライラしない。

どんなことが起きても、

「あの人にはあの人の立場があるから」と相手のことを思ったり、

「自分がこうしなかったのが悪かった」と自分の行為を諫めたりして、

怒りの矛先を相手に向けることは本当に少ない。

また、怒ることはエネルギーを使うため、

「単純に疲れるからやらない」ということもある。

 

そんな私が久しぶりにイライラしている。

なぜだろうか。

振り返りたい。

 

私がある仕事をやろうとし、

ちゃくちゃくと準備をしていて、

その一部を二人の先輩に確認した時のことだ。

その一部の内容を確認してもらった後、

「じゃ次に、〇〇を進めます」と言ったら、

一人の先輩が

「それ、やらなくていいんじゃないの。(もう一人の先輩)がやるんじゃない?」

と答えた。

どうやら、自分はやらなくてもよい仕事をやろうとしていたらしい。

自分の仕事ではないのならと思い、

「なら、自分はやらないで...」

と答えた瞬間に

「え(威圧)」

ともう一人の先輩が言ったのである。

そして、はぁーとため息をついて一言。

「やってくれるなんて、〇〇はやる気があるなぁと思っていたのだけど...」

「やらなくていいなら、やりたくないです」と即座に私は答えた。

というのは最近残業が多すぎて、なるべく仕事を減らしたいという意図もあってだ。

「いや...」とどうしてもゆずらないその先輩。

話に収集がつきそうにない。

そんなにすごく大変な仕事でもないからと思い、

「ならば、自分がやります」としぶしぶ私はその仕事を引き受けることにした。

 

その仕事をとりあえず終わらせた私は、先ほどの二人の先輩に回送をした。

ここで、その二人の先輩とマネージャーに内容を確認してもらって承認をもらい、

それを関係者に展開すれば終了となる。

回送ルートは、もともとその仕事をする予定だった先輩をはじめにし、

その次にもう一人の先輩とし、その後にマネージャーとした。

 

その後、その仕事が一人目の先輩から非承認で引き戻された。

どうやら、文書の書き方(名前の付け方や追記事項等)で違った点と

先ほど二人の上司にあらかじめ確認してもらった内容に再度修正があったとのこと。

なるほどと思い、修正しようとした時にその上司が私の机に来た。

「あの〇〇(回送した仕事)なんだけど、引き戻しといた。

 間違いが多すぎ。

 もっと完成度の高いものにして。」

「あのさぁ」と聞こえてきそうな侮蔑の声のトーンで言う先輩上司。

極めつけは

「先に、(もう一人の上司)に回送してもらえる?」

である。

つまり解釈するとこういうことだ。

「こんなに修正する事項があるなんて、俺やってらんねーから。

 違う人にやってもらえ。」の同意だ。

 

確かに、文書は書く前にもう少し確認しとくべきだった点は、

私の改善点だと思う。

そうすれば、修正事項は減らせたかもしれない。

それは認める。

しかし、一つ突っ込ませてくれ。

 

「お前の仕事だろーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

えーもう一度いうが、

もともとはその先輩の仕事なのである。

本来、私がやらなくていい。

しぶしぶ引き受けたのだ。

それなのに、一度仕事を渡したら、

掌を返したように、上からの物言い。

そりゃ分からないでしょうが、あなたが普段やってるんだから!

そんなに文句を言うなら、あなたがやればいいでしょうよ!

思いやりがないんか!

 

イライラの原因は、コミュニケーションのずれだ。

その先輩上司と自分で考え方に違いがあったのだ。

自分は何かを誰かに頼むとき、その相手を邪険にすることはない。

それは自分のために、その人の時間を使ってもらっているから。

あくまで頼んでいる側だから。

それがその先輩にはなかったのだ。

(そもそも、相手は「頼んでない」と言い張るかもしれないが)

それは自分の中では当たり前だし、どうしても壊されたくなかった。

ゆずりたくなかったのだ。

だからイライラしたのだ。

 

普段気づくことができなかったが、

これが、いわゆる自分の『信条』の一つなのだと思う。

自分がどういう人間であるかということを知れたという点では、

今回のことはプラスだったのかもしれない(そう考えると、少しイライラが治まる)。

 

自分の怒りが発生するところには、

自分の『ゆずれないもの』つまり、『信条』が隠れている。

自分を知るチャンスになるのだ。

このいわゆる「イライラチャンス」を探して、自分の中に確変を起こしたい。